さて、ほんとうはどちらがトク?

 

 お客様の数年間の海外でのご駐在が決まり、温水洗浄便座を赴任先で購入されるか、日本から格安製品をお持ち込みされるかは、大いに迷われるところだと思います。そこで弊社は一体どちらがおトクなのかの素朴な疑問にお答えすべく、簡単な比較をしてみました。

 

 弊社のBA-1000型は従来のタンク加温式と瞬間式の良い部分を採用した製品であるために、ヒーター容量が大きく(自動車で例えるならより大きなエンジンを積んでいる)、また、メキシコ特有の現象に有効な不安定で弱まった水勢をサポートするエアーポンプやポンプモーターが搭載(関連記事はコチラ)されていたりしまして、日本の電気容量の小さな格安モデルと比べると、仕様面でコストが割高になっていることは否めません。

 

 弊社のBA-1000のコンセプトと致しましては、タンク加温式の製品でありながら「すぐに温まる、すぐに冷めない」といった快適性を追求し、それに節電機能を組み合わせたベーシックなモデルがBA-1000となっております。

 

 また、価格の問題は仕様面だけではなく、日本と比べると関税や消費税も異なり、メキシコ国内での製品販売台数も大きく異なるために、日本と同じレベルの価格設定での販売が難しい点もあります。

 

 しかし、ここでは仕様面や環境面での細かな優劣差は敢えて考慮せずに、同タイプ(タンク加温式)の製品を挙げて、ほんとうはどちらがトクかを大雑把に比較してみたいと思います。

 

 

そうです、イニシャルコストだけを比較するのであれば、格安品をお持ち込みされるほうに分があると思いますが、安心の価値をどのように評価して頂けるかによってお客様のご判断が分かれると思います。

 

 たとえば、メキシコでこんなこともありました。弊社がお客様のバスルームの電気配線工事をしていた時、コンセントを開けてみると屋内配線の繋ぎが正しくなく、それだけではなく、悪いことに3ピンコンセントの丸ピンの部分が屋内アース線に繋がっていなかったのです。これでは万一漏電でもしたときに、ブレーカは作動せずお客様は感電してしまいます(関連記事はコチラ)。

 アース線がニュートラル(コールド)側に繋がっていたので、弊社作業員が配線を繋ぎなおしているところ

 

 驚いたことに、弊社の経験では約3割ものお客様のバスルームでの屋内配線がこのようなずさんな状態であり、弊社の工事担当が配線をし直しているケースが少なくはありません。

 

 何故このようなことが起こりうるのでしょうか?メキシコでは一般家庭の電気配線や水道配管工事をプロメ―ロという職種の職人さんが手掛けており、彼らはプロとしての特殊な資格を持っている訳ではありません。職人さんによってはそれぞれの得意分野があり、大工仕事がメインで、電気配線工事はあまり詳しくはないといった職人さんもいるかと思えば、電気は詳しいが配管溶接の知識をもたない職人さんもいる訳です。

 

 しかし、彼らにとって仕事の選り好みをしていたら仕事にありつけませんので、多少の知識はなくとも「何でも屋さん」でなくてはならないのです。弊社が過去に職人さんを採用したときでも、彼らは異口同音に何でも出来ると言います。この「何でも出来る」に大きな落とし穴があるのだと思います。

 

 メキシコのバスルームは日本と異なり、シャワールームとトイレが一緒のデザインになっているところが大部分です。水気や湿気の多いところに温水洗浄便座を設置する訳ですから、アース線がきちっと結線されていることは大切です。所謂、コンセントにアースピンの差し込み口があるから安全であるという考え方は正しくはありません。

 

 お客様ご自身で日本からお持ち込みされた温水洗浄便座をお取り付けされる場合は、こうした落とし穴もあるということを十分ご認識頂ければと思います。

 

 

ご注意頂くことは電気だけではありません

 

水はどうでしょうか?メキシコに限ってということではないのですが、世界的に見ますと硬水地域の方が多く、硬水の中にはカルシウムやマグネシウムなどのミネラルが多く含まれているで、それらが固着してポンプ、センサー類、バルブ類の故障や、またノズルが詰まって水が出ないなどといった水質に起因される問題が生じることもあります。

これらの問題は定期的にメンテナンスを行うことで、ある程度回避されますが、とりわけ水の硬度が高いエリアではそれでも回避出来ないこともあります。

それでは日本と比べますと、メキシコの水の硬度はどのぐらい硬質なのでしょうか?水の硬度を下記のような計算値で示します。

 

水の硬度[mg/l]=(カルシウム量[mg/l]×2.5)+(マグネシウム量[mg/l]×4.1)

 

日本の水道水は一般的に軟水ですが、地域によって結構硬度が違います。中でも愛知県が最も硬度が低く26で、沖縄県が最も高く84です。そして千葉も81です。

これに対してメキシコシティーの水の硬度はどの程度かといいますと、平均で139と高めですが、エリアによりかなりバラツキがあり、低いところでは49で千葉や沖縄よりも低いのですが、高いところでは561にもなります。また、同じ居住区の中でもかなりバラつきがあります。やはり平均値から判断するだけでも、日本と比べましても水の硬度はかなり高いということになります。水の硬度が高いとある特有の問題が生じます。

実際にございました一例を挙げますと、下記の写真は、日系企業が集まるシラオ地区で実際に生じた水質に起因する故障のケースです。この部品は製品タンク内の水のレベルを検知するセンサーです。先端部に灰色の丸い固着物が見られると思いますが、これは硬水のミネラル分が固着して成長した様子です。

 

 

 

ここまで固着物が大きくなってしまいますと、センサーは機能しなくなり、安全デバイスが働きノズルが出てきません。

 

実際に、お客様が日本や米国で購入された温水洗浄便座の修理依頼が、弊社に結構ございますが、製品ごとに使われている部品も異なりますし、修理後に保証することも出来ませんのでお断りいたしております。

 

日本からお持ち込まれた製品の保証は適用されません、修理も出来ませんでは、とてももったいないと思われませんか?こうした事態を回避するためにも、温水洗浄便座は弊社よりお買いお求め頂きますようお願いいたします。

 

 

 

 さて、あなたなら、この金額差をどのように考えますか?